愛を餌に罪は育つ
緩んだ顔のまま副社長と目が合い、恥ずかしくて目を反らしたかったが急いで「お帰りなさいませ」と声をかけた。


顔が段々と熱を帯びてくる。


私の今の顔は真っ赤だと思う。



『予定より会議が早く終わった。次の会議まで少し休む。急用でなければ電話も来客も繋がないでくれ』

「かしこまりました」



副社長はいつもの無表情のままそう告げると、副社長室へと消えてしまった。


私、案外いつも通りの顔してたのかな?


手のひらで顔に触れると、ひんやりとして少し気持ち良かった。


これだけ頬っぺた熱いんだし、やっぱり顔赤かったはず。


怪訝そうな顔を向けられなかっただけマシ――かな?


ちゃんと仕事してればいいんだろうし、もう忘れよう。


でも、次からは気をつけよう。






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