牛乳と猫スーツ。
19…ある日の男三人組。
実力テストから一週間後。ようやく意識がはっきりした直樹。
午前の授業が終わり、昼休憩中。
直樹は悠斗と拓也の3人で昼食を食べていると、廊下から女子生徒の騒がしい声がする。
その中心にいるのは1年5組の村瀬総一郎(むらせそういちろう)。サッカー部の期待のエースらしい。周りにいる女子生徒は彼のファンだ。
「こんなにキレイなキミ達に囲まれて、僕は幸せだよ。他の男子から妬まれそうだ。」
キザなセリフを言って通り過ぎて行った。
「あんなキザなヤツのどこがいいんだろ?」
廊下側の窓際で、彩華と優華と一緒に食べている真里香が言った。
「きっと誠実なんですよ。」
「優華はたぶん男に騙されるタイプね…。」
紙パックのミルクティーを飲みながら、真里香が言う。
「そ、そうなんですか!?」
「大丈夫!優華は私が守ってあげるから〜!」
彩華が優華に抱き付く。
「まあ、優華だけじゃなく彩華も大丈夫よ。恐い人が目を光らせてるから。」
そんな女子の話を聞いていると、悠斗が小声で話し出す。
「なあ、女子の中で誰が好きだ?拓也は1組の西広だろ。」
「…え!?いや…希美は……違っ…。」
珍しく慌てる拓也。
「隠すなって。いいね〜、幼馴染み。俺にもいたらな〜。」
「悠斗、いないものはしょうがないよ。」
「わかってるって。ところで、直樹は誰が好きなんだ?」
悠斗の言葉にゲホッとむせる直樹。