牛乳と猫スーツ。
そんな2人を遠くの木に隠れて真由香が見ていた。
「フフッ。もう大丈夫ね、真里香ちゃん。」
元気になった真里香を見て、真里香は呟く。
「悠斗ちゃんが弟になる日はいつだと思う?」
隣のベンチで寝ている蓮に尋ねる。
「とりあえず後2年は無理です…。」
「え〜。早く子供見た〜い!」
イヤイヤと顔を横に振る真由香。
「いや、2人はまだ16ですから…。」
「フフッ…わかってるわ。ありがとう、蓮ちゃん。依頼料は後で振り込むわ。」
「お金は別にいいですよ、今回はたまたまうまくいっただけですから。」
蓮は起き上がって話す。
「幸せになってほしいわ。」
蓮の隣に座る真由香。
「蓮ちゃんは、誰かいない――――」
「先輩。」
真由香が話す途中で蓮が言う。
「私は幸せですよ、この日常、『今』がとても幸せです。」
そう言いうと、蓮は立ち上がって、校舎に向かって歩いていった。まるでこれ以上は聞きたくないと言うように…。
「変わらないわね蓮ちゃん。初めて会ったときから、『今』しか見ていない…。あなたが『未来』を見る日はいつかしら?」
見えなくなった背中に向けて、真由香が問う。
「そんな日は来ませんよ…。」
隣にいるはずのない人に向けて、蓮が答えた。
「もし神様がいるなら、きっとサディストね。幸せになれない者を見て、笑っているんだわ…。」
知らぬ間にオレンジになった空を見つめながら呟く。