私の彼氏

2

五月義隆は何度も『私の彼氏』を読み返した。

まさかこんなモノを書いていたとは…

なんと、くだらない。そのくだらない稚拙なモノが俺の首を絞めつけようとしている。

あんなに計画を練ったのに。落とし穴とは到底想像もできないところにあるものなのだな。

五月は『私の彼氏』を読みながら、幾度となくため息をついた。

まだ、“まゆみん”から返事は来ない。

もう、小説を読むのをやめたのであろうか? いや、もしかしたら、何の返事も書かずに、ある日突然やってくるのかもしれない。

それいぜんに、“まゆみん”は三木の嫁なのか? 頼むから別人であってくれ。

落ち着け。落ち着くんだ。そんなに、焦ることはない。仮に三木の嫁だったとしても、秋山の言うように、半年も前のことだ。証拠も何も残っていない。

俺と秋山、そして、目撃者役の田中を三木健介と結びつけるものなど何もないさ。

…………

いや、ダメだ!! 何の結びつきもないのに、なぜ三木健介がこの店に来たのか、説明がつかない。

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