私の彼氏
「この中で、携帯小説を読んでいる人はいますか?」

真由美は授業の合間に生徒にむかって、この質問をした。

雑談タイムである。

九十分が一コマの授業であるが、生徒の集中力は九十分も持続しない。

よって、三木真由美講師はいつも雑談タイムを十数分はさむのである。

三十数人の講座であるが、その中の一人が手をあげた。

「読むと言っても、月に五作品ぐらいですけど」

と女子学生が答えた。

「山崎さんだけですか? 思ったより少ないですね。山崎さん、なにか恋愛ものでお薦めはありますか?」

「はあ、携帯小説は好き嫌いがハッキリしますから、人にはあまり薦めることはできません。私がいいと思ったものを先生がいいと思うとは限らないんです」
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