Loving Expression ~愛を詩にのせて送ろう~


「ねたまれ何度も正常な判断力を失いかけた」


瀬田は薄いシャツの袖口をめくった。現れた手首に、美羽は思わず口を押さえた。


「父は僕を決して認めなかった。母は父の言いなりだった。彼らもまた同等だった」


彼らというのは瀬田の才能をねたんだ輩だろう。


美羽は涙がこみ上げてくるのを頬に感じた。


「僕を嫌う人なんてごまんといる」


この言葉が決定打となり、美羽は声を無くした。


「君は、どうなんだ」


瀬田が強く訊いてきた。


「自ら命を断とうとした僕を、愛してくれるのか」



< 244 / 275 >

この作品をシェア

pagetop