Loving Expression ~愛を詩にのせて送ろう~
「ねたまれ何度も正常な判断力を失いかけた」
瀬田は薄いシャツの袖口をめくった。現れた手首に、美羽は思わず口を押さえた。
「父は僕を決して認めなかった。母は父の言いなりだった。彼らもまた同等だった」
彼らというのは瀬田の才能をねたんだ輩だろう。
美羽は涙がこみ上げてくるのを頬に感じた。
「僕を嫌う人なんてごまんといる」
この言葉が決定打となり、美羽は声を無くした。
「君は、どうなんだ」
瀬田が強く訊いてきた。
「自ら命を断とうとした僕を、愛してくれるのか」