青い向日葵


「俺ずっと思ってた。春野ちゃんのことは俺が伝えるべきだったって。だけど、俺、逃げたんだ、お前から。お前に春野ちゃんのこと、伝える勇気がなかった」


俯きながら懺悔(ざんげ)するように呟くと。


「……大野くんはさ、あの時、気づいてたんだよね、僕の気持ちに」


杉本は目だけをちらりと上げて、俺をまっすぐ見つめた。


俺は、春野を自転車の荷台に乗せてペダルを漕いでいた時、杉本と出くわした時のことを思い出した。


あの時のあの空間のいびつな空気。


交錯している思いが、絡まった糸のようになって見えたような気がしたあの瞬間を。


「……ああ」

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