青い向日葵
「お前、強いな」
「そんなことないさ」
「いや、強いよ」
杉本はしばらく黙っていた。
そして小さくため息をつき、宙を見つめた。
「……僕はさ。生きなきゃなんないんだよ。三人分」
「三人分?」
俺は眉をひそめた。
「僕の分、春野ちゃんの分、妹の分」
「妹?」
杉本は小さく頷いた。
「事故で亡くなったんだ。五歳の時」
思いもよらぬ杉本の過去に、思わず顔を上げた。
「旅行に行った時、交通事故で。だけど大きな病院がそばにはなくて、搬送するのに時間がかかってさ。……間に合わなかった」
杉本は静かに目を伏せた。