青い向日葵


俺はずっと、春野を死に追いやった杉本の母親を恨んでいた。


しかし、杉本の話を聞いて、あんなことを言ってしまった母親の気持ちが、初めて少し理解できた気がした。


あの人からしたら、自分の子どもが二度も交通事故に遭ったのだ。


恨みたくなる気持ちも、わからなくはない。


「だから。僕は、何があっても命を全うしなければいけない」


杉本は真剣な面持ちで呟いた。


その言葉に、強い決心を感じた。


「お前、やっぱすごいよ」


「そんなことないさ。もがいてばっかりだよ」


そういって杉本は、いつもの穏やかな笑みを見せた。



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