青い向日葵
「あの雛、この前埋めた場所で拾ったの。きっと、巣から落ちたのね」
春野は、雛のお墓の方に目をやりながら、ぽつりと呟いた。
「お母さんの代わりに育ててあげられるかな、って思ったけど……やっぱりわたしじゃダメだった」
俺と杉本は、静かに語る春野を見守るように見つめた。
少し強い風が吹いた。
春野はとっさに綺麗な黒髪とスカートを押さえていた。
落ちていた葉っぱが、ひゅるんと舞いあがる。
春野はその葉っぱの行方をしばらく眺めていた。
かと思えば、ふと俺たちの方に向き直り、嬉しそうに、
「二人は仲がいいんだね」
と笑った。
ちっとも。と思ったが、それを口には出せなかった。