青い向日葵


「行くぞ」


そう言って勢いよく漕ぎ始めると、春野が俺の学ランをきゅっと掴んだのがわかった。


背中に感じる春野の体温。


切っていく緑の風。


流れていく景色がきらきらと眩く感じた。


「気持ちいい!」


俺の背中で春野が叫んだ。


「しっかり掴まってな」


俺がスピードを上げると、春野は子供のようにはしゃいで喜んだ。


それが俺には嬉しかった。


二人ではしゃぎながら川原への道を走っていく。


すると、前から自転車に乗った青年がこちらに向かって走ってきていた。

< 40 / 108 >

この作品をシェア

pagetop