青い向日葵



それから、俺の心臓には小さな棘(とげ)が刺さったままになった。


ちくりちくりと痛みが増し、いたたまれなくなってしまった時、俺は何度か増田を抱いた。


増田は抵抗しなかった。


どんな気持ちで俺に抱かれているのか、わからなかった。


ある夏の日、西日が差し込む彼女の部屋で、お互いを求めあっていた時、増田が、


「わたしは最低な女よ」


と呟いたことがあった。


「杉本くんの体が不自由になってしまったと聞いた時、振られてよかったのかもしれない、と思った自分がいたのよ。その気持ちに気づいた時、自分にぞっとした」

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