わかれあげまん
「よかったー!じゃあ尚更あたし、安心して藤宮くんに関われるんだよね?」
その嬉々とした声に今度は美也子がエッ?と眉を顰める番だ。
「か、関わるって。ちょ、柚。カノジョ持ちの藤宮くんと何を関わりあいになるってゆーの?」
「美也子には会った時また話すけどさ。藤宮くんとはあたし、何かの縁を感じたんだよね。その縁がまた、変な方向に行かないかって不安だったんだけど、それ聞いて更に安心した!」
「何それ。何かよくわかんないけど…まあ、藤宮くんがあんたに恋愛感情持つ事はないって宣誓したんなら、彼は倫理的にも正しい男って事なんだろし…ってことでいいんじゃない?」
答えつつも、自分が一体何を柚に諭しているのか正直よく分からなくなり、美也子はサンドウィッチの最後の一片を口に放り込み、乱暴に飲み下した。
「だよねだよね。よーし!あたしも頑張るぞ!」
「頑張るって何を?」
柚はぴょこんとベッドから飛び降り小さな拳を突き上げて、宣言した。
「藤宮くんとは絶対、恋に落ちない!マブダチになる!っていうか、あたしもう男とは絶対、そういう仲にならない!」
何だか歓喜とやる気全開に言う柚に、それってやっぱ女としては悲しすぎる宣言なんだけど…とまた美也子は哀れに感じたが、せっかくやる気になっている柚の手前、今度も胸のうちにとどめるだけにしておいた。