ライフ・フロム・ゼロ


ナカは眉を下げて、少し寂しそうな顔をしていた。

「うん、サヤ、それちょっと悲しいかも」

「うーん…自分ではそう思わないかなあ」

「それって人を心から愛せないってことでしょ」

「どうなんだろ…?」

「まだ、キョウ先輩のこと実は引きずってたりする?」


意外な人物の名前が出て、少し驚く。


「やめてよ、何年前の話よ」


「でもさ、キョウ先輩のことはちゃんと愛してたでしょ?
 結婚したいなあとか、思わなかった?」


「…あの時学生だったし、そんな…
 愛してたとか…わかんないけど…」



「うん」



「でも、ずっと一緒にいたいっては思ってたかも」


「うん、そうだよね」



ナカは優しい顔で笑っていた。
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