藍色のキミへ


「なにしてるの!?」

通りかかった看護師さんによって、中山さんの口に入るのを阻止できた。

しかし、看護師さんの声に驚いた中山さんは、何かの拍子にお皿の上にあった魚に手が触れてしまった。


「…痒い」そう言った中山さんの手は、赤く腫れあがっていて蕁麻疹がポツポツと出来ていた。


「中山さん!?」

「大丈夫です、ただの蕁麻疹ですから」

中山さんは、ニコっと笑った。

看護師さんは、すぐに先生を呼んだ。
呼ばれた先生は、すぐに処置をし中山さんの手に掻きむしり防止の包帯を巻いた。

男の子は、驚きを隠せないようで目を見開いている。



今までの経緯を、先生と看護師さんに話すと先生は、男の子に優しく話しかけた。


「このお姉さんは、お魚が食べれないんだ」

「僕の好き嫌いと一緒じゃん!僕だけなんで食べなきゃいけないのよ!」


それを聞いた中山さんは、また切なそうに笑って話し出した。

「たしかにそうだよねぇ、私だけずるいよねっ!ごめんね」


聞いていただけなのにすごく辛かった。
言っていた本人は、もっと辛かっただろう。


「お姉さんはね、アレルギーって言ってお魚を食べると具合が悪くなっちゃうんだ」


先生は、また話し始めた。



「あれるぎー?」

「そう、でも僕はお魚食べても具合悪くならないよね?」

「…うん」

「お姉さん、食べたくても食べれないんだよ」

「…僕、お姉さんのかわりに頑張ってお魚食べる!」

その子は、顔をしかめながら魚を全て食べた。
そして、子供なら苦手なはずの薬もちゃんと飲んだ。
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