藍色のキミへ
自然的な別れ


当然の別れは、雨の日にやってきた。

「退院おめでとうございます」

「ありがとうございます」

「体に気をつけてくださいね」

「宇宙さんも、お仕事も頑張ってください」


ありきたりな会話を交わして、中山さんは嬉しそうに退院していった。


俺の心は、切なくて苦しくてまるで、今日の天気のようにドシャ降りの雨模様。

「…もう会うことなんかないよな」

自分に言い聞かせて、早く中山さんのことを忘れたかった。

俺だって、退院すれば仕事三昧で恋なんかする時間がないんだ。

この気持ちは、自分のためにも消し去った方がいい。


そう思い込んで、必死に中山さんの笑顔を消そうとすればするほど、強く頭の裏に焼き付いた。
< 19 / 100 >

この作品をシェア

pagetop