藍色のキミへ
知らない初恋


「中山さんの、初恋の相手ってどんな人ですか?」

「宇宙さんの初恋の人は?」


質問返しされたけど、とりあえず質問に答える。



「幼稚園の先生が好きでした」

「…私の初恋は、親戚の歳の離れたお兄さんでした」

なんだか、切なそうに話す中山さんを久々に見た。




「お正月にしか、会う機会はなかったんですけどね」

「へぇ…」

「ある年のお正月に、
アレルギーが治ってるかもしれないから
エビ食べてみたら?って言われたんですよ
冗談でお前の大好物だろ?みたいにね、
その冗談が本当に悲しくてエビ食べたんです」

「えっ?」

「アレルギーが、治ってるはずもなくて救急車で運ばれました」

「………」

「それで、病院で聞いちゃったんですよね
『めんどくさい体だよね』って話してるとこ
すごい悲しくなりましたね、あの時は」


中山さんの心の中の闇は、こんなとこにも潜んでいた。




「俺は、そんなこと思いません!」

「…ありがとうございます」


アレルギーは、面倒なんかじゃない。

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