ねぇ、そばにいて。


私の仕事の上司である元さんは
初めこそ、ただ私を可愛がってくれる上司だった。


仕事終わりに2人で飲みに行って、
愚痴を聞いたり聞かせたり。

もちろん、その時だって既に
元さんの薬指には指輪が輝いていた。



たった一度だけ。



“妻に浮気された”と。
珍しく、1人では歩けないくらい飲んだ元さんを、私の家に運んだことが始まりだった。







「俺には妻がいるから。

その事実だけで押さえ込んできたのに。
もう君が欲しくてたまらない。」



そう言って私を抱きしめた元さんに
私がキスをしたことが、始まり。





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