魔界動乱期
そしてジードはハッとする。

「牢獄って……レンの仲間がいるんじゃ……」

ジードは、レンの閉ざされた瞳の理由を理解した。
レン自身、ゾーマの力の恐ろしさをわかっているのだ。
歴史から末梢されたその力は、魔界の勢力図を変えてしまう程のものがある。
そしてゾーマの真の恐ろしさは、心がゾーマの力に支配されてしまったときに起こる破壊の悪魔化だ。

レンはそれを知りながら、悪魔の種を何魔も生み出す事を強要されている。
自分のせいで、魔界が悪魔に支配されてしまうかもしれない。

「くっ……レン!」

ジードはヨロヨロと立ち上がり、ガルバイルに案内された儀式の間へと向かった。
ジードが儀式の間に到着すると、そこには、うつ伏せになり泣き崩れるレンの姿があった。

「レン!」

ジードがレンを抱き抱える。
レンは涙を流しながら、ジードにしがみついた。

「あたし……また、悪魔を生み出しちゃった……。こんなこと、したくないのに。仲間がいるから……死にたくても死ねないもの!」

レンは声を震わせ、ジードの胸に顔をうずめる。

「お願い……たすけ…助けて……お願い……」
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