魔界動乱期
「おい!お前のせいで、私は毎日ルークの影に怯える毎日だ!責任取れよ!」

ラウドは炎駒のエリアを訪れていた。
森中を徘徊しているウルフでも、他の魔獣のエリアの中までは入ってこない。
ましてや、炎駒のような一魔エリアの中心にいればまず情報網にも引っ掛からない。

「ルークに言ったのはよお、こんな状態になるのがわかってたからだよ。もうこうなったら次の行動取るしかないぜ?」

「こうなることがわかっていた?私が追い詰められるのをか?お前、なかなかいい性格してるな……」

ラウドは皮肉を込め、しかしウルフに悟られぬよう小声で言う。

「これ、本当にギルシャスの英雄かよ」

炎駒は呆れたように苦笑した。

「だ、黙れ!それと、さっき言ってた‘次の行動’てのはなんなんだ?」

炎駒はニヤリと笑みを浮かべる。

「いや、やっぱりいい。その笑みは良くない笑みだからな……」

「おいおい、優しい笑みだぜ?もうお前、妖狐との関係が森中に広まるのは時間の問題だ。だからさあ、もう一緒になっちまえよ、妖狐と」
< 376 / 432 >

この作品をシェア

pagetop