魔界動乱期
「ねえ、もう行ってもいい?」

すぐ背後からの声に、モルキはゾクリと寒いものを感じた。

「さすがユニコーン。そのスピードはルークと同等か……」

モルキは降参の意を示すかのように、両手を上げた。
そしてモノケロウスがその場を去ろうとしたとき、回りの空気が湿気を帯びる。

「これは!?」

モノケロウスが気付いたときには、大きな水球が二魔を閉じ込めた。

「ガボッ……」

そしてスーッとモルキだけが その水球から出る。

「ほっほっほ。巨大な水牢じゃ。そのままじゃと溺れ死んでしまうぞ……ん?」

モルキが言葉を言い終わるまえに、水球から、何か水蒸気のようなものが立ち込める。

「な、なんじゃ?まさかユニコーン!水の‘寿命’さえも……?」

やがて水は全て蒸発し、モノケロウスが着地する。

「モルキ、君がどうしても邪魔するなら……」

「うっ……」

今まで穏やかだったモノケロウスの顔つきが、次第に怒気をはらんだものに変化してゆく。

「君は………貴様、八つ裂きだ!!」
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