涙空から曇り空、そして蒼い空
涙空

大きな手

「美ー姫ッ」


“ギュッ”



「きゃッ」



こうやって、いつもあたしを




驚かせる、あたしの彼氏。




伊藤 陽 -イトウ ヨウ-



「陽クン…、、苦しいッ…。」




「あッ!?ごめん、ごめん」




強く抱き付かれたせいで




胸が苦しくて、息が出来なくて…。




涙目になったあたしの顔を





まじまじと見る陽クン。




「泣くな?」



コクッ。



っとうなずくあたし。



でも、いくら陽クンだったとしても





男の子慣れをしていないあたしは



すっごく怖かった訳で…。





そう簡単に涙が引く訳でもなく…。




「あー、もうッ…。俺が悪かったから。な?」



こうやって、いっつも



陽クンに迷惑をかけてる自分が嫌で…。




「ね?陽クン…。」



「ん?」



「…。わ、かれよう…ッ??」




あたしは馬鹿で…。




どうしようもない馬鹿だから。




心にも無いコトを思って。




そして


心にも思って無いコトを




言ってしまったんだ。

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