アイ
その日は、春先らしい陽気で、僕はうとうとしながらベッドの上で寝転がっていた。

平和な映像しか見えない為、油断していたのだろう。

ふと意識を取り戻した時、右目のすぐ前に、誰かの顔があった。

思わずヒッと声を漏らす。

しまった、見つかった。

すぐに回収に向かわないと。

いや待て、こんな不気味なもの、どうせ何かのおもちゃだと思ってすぐに離れるだろう。

だって眼球だ。

これが人間の右目だなんて、どうせ誰も分かりはしないだろう。

大丈夫、大丈夫。

落ち着け。
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