甘いのは苦手です。
嫌な音だけが耳に入ってくる。

顔を見られたくないのに縛られていて動けない。

声を出さないように必死になって唇を噛んだ。

「ユズ、血出てる」

「何…で…んん…」

あいつが見たことのない優しい顔をしてる事に気付かなかった。

「好き」

揺さぶられて自分でも何が何だかわからない。
頭が朦朧としているのにこの言葉だけは、はっきりと覚えている。

「好き、柚木…」






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