触れることもできない君に、接吻を

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「おはよう、真人くぅん」

ドアを開けると、数人の男子がいやらしい笑みを浮かべて俺に挨拶をしてくる。
きっと裕大に連れられてやってきたのであろう。
面倒臭いから、今度から裕大の子分とこいつ等のことを呼んであげよう。

その真ん中にいるのは、裕大だ。

裕大は体が大きく、数年前まで空手を習っていたそう。
ガキ大将のような目付きをしていて――性格も悪餓鬼のようなのだが――クラスの奴らからは評判が悪い。
そして昨日俺の靴に例の紙切れを入れた犯人だ。

俺はひどい頭痛を覚えながらも挨拶を返すと、裕大の腕が俺の首に巻きついてきた。
思わずひぃっという情けない叫びを出してしまう。
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