儚恋。
すると遠くからだけど
確かに聞こえてきた。
「亜唯、そこ間違ってる」
「え?…どこ?」
――――雄都くんの声。
「……」
雄都くん―――。
高原蛍から目を逸らして
声がする方を覗くと
私の大好きな人が笑っていた。
大好きで大好きで堪らないのに
届かない愛しい人。
「ふーん……なるほどね。
雄都のこと好きなんだ?」
私の異変を察して
ニコリと笑う高原くん。
図星すぎてカァッと一気に頬が赤くなった。