美しいあの人
千鶴さんがなにを聞きたいのかはわかってる。
わかってるけど、あたし自身まだ迷っているから答えられない。
食事をしながら千鶴さんに聞いてもらってそれから決めようと思っているのだ。

「なに食べるかの方が先」
「まあ、私は関係ないからいいけどね」
「関係ないなんて言わないでよー。こんな相談できるの千鶴さんだけなんだから」
「そりゃ松井さんにはできないでしょうけど」
「千鶴さんなに食べたい？　あたしお昼代出すよ」
「あら嬉しいわね。早くエレベーター来ないかしら」
千鶴さんの機嫌を取るように、エレベーターの扉が開いた。

あたしは、祐治にプレゼントを買うかどうか迷っている。
芙美子さんから送られたものをなんの躊躇も無く身につけている祐治。
気にするなと言われてもあたしはやっぱりそれが気になり、
だったらあたしも祐治になにかプレゼントすればいいのだろうかと考えた。
千鶴さんにそれを相談したら「選ぶだけ選んでみたら？」と提案された。
だったらセールもやっているし自分たちの買い物もしようと、
午前中から落ち合って買い物に来ている。
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