カクテル~Parfait Amour~
『リエゾン』


「寒くない?」
隣に座る妻に声をかけた。
「大丈夫よ。あなたは?」
「ぼくも大丈夫。
だいぶ日が短くなったね。暗くなる前に帰ろうか。」
ぼくたちはこの公園に、数え切れないほど足を運んでいた。何をするでもなくこうしてベンチに座って、風と陽の光を感じ、木々を眺めている。

ぼくたちの目の前を、まだ若い夫婦が手をつないでゆっくりと歩いていく。相手をみつめる瞳は、幸せそのものといった輝きに満ちている。
彼らと目が合った。

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