カクテル~Parfait Amour~
「大人になったね。」
繊細な心を持ち、さまざまなことに考えをめぐらせるのは子供のころから変わらないのだろう。今の妃緒は、考えたことを前に進むエネルギーにうまく変えていけるようになってきている。」
「女王は、クーデターで退位させられることがあるでしょう?でも王妃なら、王が退位させられてもその妃であった絆は無くなったりしないのよ。」

「妃緒。」
「ほら、国王陛下がお迎えにいらしたよ。」
「昨日もヘッドホンつけて遅くまで練習してたんだから、今日はゆっくり休みなさい。
夜更かしは体によくありませんよ、王妃様。」
「わかりました。
ごちそうさま。またね。」
水野さんはごく自然に妃緒のカバンを一つ持ちドアを開けて、手を繋いでおりて行った。

空き瓶を一時的に置くために非常階段の踊り場に出ると、くるくると楽しそうに踊るように歩く妃緒と、優しくみつめながら歩く水野さんの姿が見えた。
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