屋上から、この想いを。





ああ〜



お昼も食べ終わったことだし、次の授業の英語の予習でもしとこーかな。





日本語訳当たりそうだし。






…とか思って、椅子に座ったまま大きく伸びをしながらあくびしていると。








「バカデカい口。あくびするにも品を感じるあくびしろよなー」



「ふんがぁっ!?」






い……っ、いつの間に隣の席にいたの、沢村浩人!?





しかもいい気持ちであくびしてたのに、途中で止めんなよっ!!






私はムカついて沢村を睨んだけど、当の本人は私のあくび風景がよっぽど面白かったのか下を向いて声を噛み殺すように「クククっ」と笑い続けていた。






…むしろ、大笑いしてくれた方がスッキリするんだけどっ。








「な、、、何よ。別に昼休みなんだからいーじゃない。だいたい何でそこにいんのよ?」



「ココ、俺の席だけど」



「そーゆー問題じゃないわよ。さっき女子に囲まれてたじゃん」



「『俺には待ち人がいるからね』って言ったら、みんなキャーキャー言いながらどっか行ったけど」



「…アンタ、バカじゃない?」






だいたい『待ち人』って誰よ?





自分が『王子様』って呼ばれてることすら上手く利用してるのがまた腹立たしい。






「あれ?気にならない?俺の『待ち人』プリンセス♪」



「全っ然?」






やっぱバカだ、コイツ。





何でみんな、この男の容姿だけに騙されてんだろ?





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