Nocturne






「…好きなの。今も、昔も、ずっと。
離れたくなかった、別れたくなんてなかった…!」






久しぶりに口に出した。

忘れかけていた、この気持ちを。
忘れようとした、あの気持ちを。


私のためにも、皇のためにも。
お互いのために忘れなきゃいけないと思ってたこの気持ちは、どう足掻いても、何をしても忘れられなくて。

結局、想いを強めただけで。




「なら、話は簡単じゃない」

「…え…」

「伝えたらいいのよ、彼に。全身で、全力で」




もう、私たちは決して繋がることなんてないと思ってたから。

だから、今更どう伝えたらいいのか分からなくて。


『いまさら何だよ』って思われるのが嫌で。

結局私はまた、逃げようとしているだけで…。


けど、どうしようもなく逃げたくなる。




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