Nocturne




幾ら謝っても、きっと許されることはないだろう。

けど。
私は、



「本気だよ」




自分自身を最悪の方向に持って行くことをやめなかった。




「…樹里…」

「…さようなら、皇」

「おい…ッ、樹里…!」

「…仕事…がんばって。応援してるからね…」




『待て!樹里…ッ』


電話口からそう聞こえてきたにもかかわらず、私は切った。

これ以上は、



「…ッうわぁぁぁ…ッ!!」




――――私が耐えられなかったから。


バイバイ、皇。
私の、最愛の人。



「…っ、皇…皇ッッ!」



いくら叫んでも、いくら泣いても。
―――もう二度と、あなたに会うことはないだろう。

だけど。
これでよかったんだよ。
これで、よかったの。

もう皇にも、皇のお父様にも、お父さんにも、お母さんにも。
もう誰にも迷惑をかけるようなことはこの先は無い。


―――身勝手な決断だけど、皇、許して…。


いくら許しを乞うても、
あなたに『いいよ』と言ってもらえる日は絶対に来ない。




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