お義兄様は官能小説家?!(仮)


…また始まった。
10年前に再婚したお母さんとお義父さんは、今でもまるで新婚のようにラブラブだ。
仲がいいのは嬉しいけど、子供の前でイチャイチャとされるのはちょっと困る。

「はは、僕達のことはもう、眼中にないみたいだね」
「そうみたい…」

あたしとお義兄ちゃんは顔を見合わせて、思わず苦笑いを浮かべた。

お母さんとお義父さん・神威さんは、あたしが8歳の時に再婚した。
あたしの本当のお父さんはもう物心付く頃には亡くなってしまってて、新しいお父さんが出来るって聞いて、無邪気にはしゃいでた。
しかも前から欲しいと言っていた少し年の離れたお兄ちゃん、優弥くんまで出来て、遅い誕生日プレゼントでももらった気分だったのを、今でも覚えてる。
お義父さんもお義兄ちゃんも優しくて、今ではまるで本当の家族のように…ううん、それ以上に仲良しだ。

「亜梨香、もうあの二人は放っておいて、先に食べちゃおうか?」
「うん、そうしよっか」

お義兄ちゃんの冗談めかした言葉に、笑いながら頷く。
折角お母さんが作ってくれた料理だもの、冷めないうちに食べたいし、もうお腹もペコペコ。
まだしばらく二人は収まりそうもないし、一応家族全員揃ったんだから、いいよね?

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