時の蕾 (短編)
第1章
あれは、自分がまだ15歳の6月の頃だった。

高校に入学したばかりで勉強は中の下で、運動神経も普通、すべてにおいて人並み程度の僕は、いつもクラスで一番頭が良く、可愛い女の子に自然に目で追うようになっていた。

その子とは席も近かったせいか良く話すようになっていた。


そして9月。


僕は授業中もお昼休みもその子のことが気になった。


もちろん家に帰って来てからも…。


夏休みの長い期間中も逢えないことに腹をたてたこともあった…。

んっ…。


これって…。


恋って奴かぁ…。


好きって事か…?


そのことに気付いた僕はその子の顔を見ることも、まともに話すことも出来なくなった…。

そして避けるようになった。


僕は16歳になっていた。

高校生活の一年も終わりを迎えよとした2月、押さえきれなくなった高鳴る想いをどうする事も出来なく、僕はついに決心をした。


そう「告白」をしよう。

おそらく男としての最初の一大決心だった。

だが、その翌日クラス担任の先生から衝撃的な連絡がクラスにあった。


僕が「告白」を決めた翌日に、その子が高校二年なると同時に海外に留学する事を知らされた。


一年間の留学…。


僕は「告白」をしなかった。


と、言うより出来なかった…?


そして3月の終業式はあっと言う間に来てしまった。


普通通りの応援の言葉でその子とも分かれた。


僕は終業式前に学校行事で撮った、その子が一人で大きく写っている写真を誰にもばれないようにコッソリ買っていた。


そしてアルバムにそっと挟んだ。


その時その子は、すで日本にいなかった…。

それから一年の時が過ぎた。
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