嘘とメールと夏休み


「だから、結局は未遂ってことなんですよ…。椎名君、怒らないで」
「怒ってない」
「怒ってますって。じゃあなんですか、その眉間のしわは」
「生まれつきだ」
「嘘だー椎名君そんな人相悪くなかったですー」
「いいから、こいや」


ちょいちょいと手を招く。
鮫島はしぶしぶながらも、俺のほうへ歩いてきた。


「俺は、怒ってません。俺が怒ってないと言ったら怒ってませんです」
「に、日本語おかしいです」
「おかしくないです。でもやっぱ妬いちゃうよ?それはわかってくれる?」
「…っ、わかるよ。私もだったから」


顔を真っ赤にした鮫島は、目をキョロキョロさせている。


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