嘘とメールと夏休み


始業式が終わり、自分の席に着席するなり担任の先生が入ってきた。


「おお、みんな焼けたなあ!近藤焼けすぎだ、てめえバカンス行ってきたんか」
「いやいや、そんな暇ないっすよ」
「だよなあ!高校危ないもんなあ」


細いすらっとした体に小さな顔、ぱっちりとした猫目で一見モデルでもおかしくない担任の安川先生にひとつ欠点があるとすれば、この口の悪さだ。


「さてさて、夏休みも終わり、みんな十分勉強できたことでしょう!てなわけで、抜き打ちテスト始めまっす」


ええーというみんなの声が教室内に響く。


「うっせえ、列の一番最初の人早く取りに来い」


配られたプリントを一通り見る。うん、何とかなりそう。


…朝倉君は、大丈夫なんだろうか。

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