嘘とメールと夏休み


ふたりで境内に腰かける。
椎名君は、袋からペットボトルを出して飲み始めた。


「ちょっと喉乾いてさ…」
「うん」


蝉の鳴き声が頭に響く。
夜になるとは言えども、真夏はやっぱり暑い。
Tシャツの袖で汗をぬぐう。


「あのさあ」


椎名君が口を開いた。


「何?」

< 94 / 130 >

この作品をシェア

pagetop