大海の一滴

「あ、貸してくれるだけで良かったのに。なんか悪いね」
「二人で、何してるの~?」
 今度は甘ったるい声でアヤネちゃんが現れ、私の椅子の背もたれを前後に揺らす。

「ああ、ウチが消しゴム忘れてさ」
 と、アリサちゃん。

「それ、今度からあたしに言ってよね! いっつも予備持って来てるんだから」
 何故か怒るアヤネちゃん。

「お前、ま~た消しゴム忘れたのかよ~」
 神出鬼没のタケシ君が登場。

「うっさい! あんたには関係ないでしょ」


 キーンコーン、カーンコーン。


 ここで、授業開始のチャイムが鳴った。


 ハアー。

 ちょっとだけ肩を窄めて溜息をする。

 多忙な人間の休憩時間はとても少ない。おかげで陰謀の意味を調べ損ねてしまった。
後で調べておこう。

「みんな、休み時間は終わりよ。席に着いて下さい。渡辺さん、さっきは日記帳持って来てくれてありがとうね。助かったわ」

 まあまあ美しい麗ちゃん先生が教室に入って来て、渡辺さんを褒めた。





< 36 / 240 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop