大海の一滴

 妹
   きょうだいのうち年下の女。《義姉とも書く》夫や妻の妹、また弟の妻。義妹。{小学館 デジタル大辞泉引用}
妹分
   義妹(ぎまい)。妹同様の親しい関係。またその人。{小学館 デジタル大辞泉引用}

だそうな。つまり美和のこと。

 アリサちゃんは言っていた。
「ウチはくそ生意気な弟しかいないから、妹って憧れるんだよね」

 すかさず、タケシ君が入ってくる。
「けっ、妹なんてピーピー泣くだけじゃんか。オレなら断然弟だな。んでもって子分にしてやる」
「あんた、またマリモっちに意地悪してるんじゃないでしょうね」

 マリモっちとはタケシ君の妹のマリちゃんのこと。確か美和と同じ小一だった気がする。

「うっせーな! またうちのババァにチクる気かよ。これだからご近所さんは困るんだよな」
「何よ! チクられて困るようなことばっかやってるからでしょ」

キャー、キャー、ワー、ワー。
二人がじゃれ合っていると、アヤネちゃんが腕を絡めてきた。

「あの二人って、いっつも仲いいよね。まあ、いいけどさ。あたしはさちの気持ちよく分かるよ。
ほら、ウチは三姉妹の真ん中でしょ?妹なんて面倒くさいよね。
でもさちはお姉ちゃんがいないからまだいいよ。
あたしなんか、お姉ちゃんと喧嘩すると『二人とも悪い』って怒られるのに、妹と喧嘩すると『お姉ちゃんでしょ?』ってあたしだけ怒られるんだから。
もう最悪なの。
やっぱり愛美ちゃんとかまあちゃんみたいに、一人っ子がいいよね。何でも買って貰えるし、甘やかされて育つしさ」

 確か、アヤネちゃんの妹も小一だった気がする。

まあとにかく、妹という代物は、どこの家庭でもあまり良い物ではないらしい。


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