ルーズ・ショット ―ラスト6ヶ月の群像―
ミツが気づくぐらいなのだから、
もちろんメンバーの誰もが知ることなのだろう。

しかし、洋二も羽月も、裕太も、そしてサトシも、
フラワー・オブ・ライフを、四人でいることを何より大切に思っている。
だから、ミツはこんなに切なく、情けない歌を作ったのだろう。

誰にも言わずに飲み込んで、
消化してしまうことのできない思いを抱えているのは、
ミツ一人ではなかった。

誰もが、ただ輝き続けていられるわけではない。
それでも時は流れてしまう。
ミツは胸が絞り上げられるような息苦しさを感じて、
ますます涙が出てしまった。

あと、三ヶ月でミツの十代は終わる。
洋二の十代は、あと二ヶ月で終わる。

いつまでもこのままでいたいのに、そうも言っていられないと、
急に現実味を帯びてきて、そう思うと少しずつ、ミツの涙は止まった。

洋二の歌は、時々途切れてはまた始まった。
ミツは手のひらを見た。
小さな赤い三日月のかたちをして爪の食い込んだ痕が残る。
そっと祈るように、それを包み込んだ。
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