ルーズ・ショット ―ラスト6ヶ月の群像―
「羽月、ろうそく消せよ。」
羽月が髪を両手で押さえ、ろうそくに顔を近づけた。
「へっっくちょぉん!!」

四人は固まった。
裕太が特大のくしゃみをかまして、ろうそくを消してしまった。
「へへっ」
裕太はビビーンとティッシュで盛大に洟をかんだ。
「もう!サイテー!」
と、頬を膨らませた羽月も笑ってしまう。
「汚ねえよ、裕太!」
サトシが裕太の背中を思いっきりたたく。
「あーもう食う気なくした!」
洋二が半ば本気で怒る。
「じゃあ洋二は食わなくていいよ。」
ミツが裕太の洟が飛んでないかケーキを確認する。
「何言ってんだよ、おれも食う。」

そこからはケーキの取り合いが始まった。
一応、包丁も取り皿も用意してあったが、みんな手づかみでケーキを食べた。主役の羽月は女の子らしくちゃんとフォークで食べていた。

「なんかしょっぱい気がするなぁ。」
「お、サトシくんそれハズレ。おれの鼻水ゾーンのとこね。」
「おまえマジで、いつか殺してやるからな。」
五人は笑った。
食べて、笑って、飲んで、笑った。
羽月も笑顔を見せた。
やわらかい一月生まれの、冬の陽だまりのような笑顔。

ミツは洋二の声をあげて笑う姿を久々に見た気がした。
あと、何回一緒に笑うことができるのだろう。
それでもミツは五人で過ごせる時間が嬉しかった。
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