Never Ending Story
「ちょっとくらいええやろ!?」

「近付くな変態」


休み時間、媛の元へ行こうとする友貴を全力で阻止している翠ちゃん。

「あの…どうしたんです?」

「あぁ気にしないで」

翠ちゃんがニッコリと言う。

「会長様にそんなことしてええとでも…」

「……」

そう…残念なことに友貴は生徒会会長。なんでこんなやつが…と何回思ったことか…。

顔は可愛いのに中身はオッサン変態。こんな残念なことがあるかっ!!

でもまぁ馬鹿だけど何事も公平、やるときはやるという具合である。


「媛ちゃんはどこからきたの?」

「隣の隣の町から来たよ。学校が遠くなっちゃって」


あははと明るい笑顔。

「実は両親いなくて今親戚の家にいるんだ」


この時私は「高城」という名字をどこかで聞いたことがあるような気がした。


どこで?



「恋ちゃん?」



「ううんなんでもない」

「大変だね。いつでも頼ってね」

優の言葉が胸に突き刺さる。優は私の家の事情を知らない。もちろんクラス全員。知られたくないから。



「ありがとう」

媛ちゃんは天使のような笑顔で言う。

< 4 / 88 >

この作品をシェア

pagetop