菓恋(かれん) ~be+ひと目惚れing~
Act.2 「善は急げ、恋も急げ」



「…!」



いったいどれくらい気を失ってたのか分からないけど、“ハッ”として目を覚ますと…、

あたしは見知らぬ部屋のベッドで寝かされていた。


生地の厚いカーテン越しにだけど、外が明るくなってるのが分かる。

「もう朝になったんだ……」

カーテン越しに降り注ぐ柔らかい朝の日差しが、部屋の中をほのかに明るくさせている。


寝たままの姿勢でゆっくりとあたりを見回すと、まず窓の横にある学習机の上の本棚に目がいった。

本棚にズラリと並んでいる本のタイトルには、どれもみな『お菓子』とか『パティシエ』とかの文字が書かれてある。


さらに視線を動かしていくと、着物の帯と、黄色地に桜の柄が描かれた“振り袖”がハンガーに掛けられているのが見えた。

「え…?」

アレって…あたしが初詣に着ていった振り袖だよね……?
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