運命のヒト

――『大失敗だ……』


名前すら知らないあなたの温かい腕を、あたしは最初から拒むことができなかった。


――『俺、どうしても行かなきゃいけない所があるから』

――『俺みたいなめんどくせぇの、お前は選ぶ必要ない』


近づいたかと思えばいつも、あなたはあたしの手をすり抜けていった。

だけど。


――『どこにも行きたくない。俺はずっとお前のそばにいる』

――『俺たちは、何度も会ってるから』


不確かな繋がりの中でも、確かな時間が少しでも存在していたのなら。


シロ。アナタのことを、ちゃんと知りたい。


知りたい……。



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