運命のヒト

うつろに呟いたあたしを、彼は不可解そうに見て
それから「あぁ」と端正な顔に笑みを浮かべた。


「風邪で寝込んだときは、いろんな夢を見るもんだよな。もう少し寝てろ。今日は雪だ、すごく冷える」


肩の上まで毛布をかけてもらい、あたしは再び目を閉じる。

まぶたの裏の闇に、ちらちらと、真っ白の粉雪が舞い始める。


――“美園”

まどろみの中、声を聞いた気がした。

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