運命のヒト

「……ん…んー……」

息子は完全に寝ぼけ眼で、ごしごしと目をこする。

いつもは寝起きがいいのに珍しいな、と思っていると。


「ママぁ……」

「ん?」

「なんかねぇ、変な夢みたぁ」


夢? わたしは聞き返す。

すると息子はまだ夢の中にいるような、だけど妙にしっかりした口調で話し始めた。


「うん、あのね。夢でボク、大人になってたんだ。

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