あなた色に染まりたい
「あー、ねみぃー」


「悟、寝不足?」




あまりにあくびばかりしているから、夜は眠れていないのかと聞いてみるけど、晴希が隣で嬉しそうに口を開く。




「夜、頑張ってんじゃねぇの?」




しかもそのニヤけた顔を、美香に向けて言うから、すぐに真に受けちゃう美香は、頬を真っ赤に染めた。




「な、なに言ってんのよ!」


「ナニって何?」


「晴希のバカッ!」




ふふ…この二人っていつもこんな感じで、ムキになってる美香が凄く可愛い。




♪♪♪〜


そんな楽しい雰囲気に乗って、携帯の着信音が響いた。




「あ、あたしだ」




バッグから携帯出して、ディスプレイを見ると……




「知らない番号だ。誰だろ」




首をかしげながらも、とりあえず出てみる。




「もしもし?」


“あ、紗羽?俺……”




この声は……




「……大輝?」




あたしがそう呟いた瞬間、前に座る三人の視線が一斉にこっちを向くのがわかった。




“ん……元気だったか?”


「うん……あたし、大輝の番号知らなくて、連絡できなかった。」


“はは……そうだな。でもそのほうが好都合だったよ。考える間もなく、すぐかかってきて断られそうだったからさ”


「……」


< 195 / 423 >

この作品をシェア

pagetop