あなた色に染まりたい
桜の木の下の出来事が最後だったら、もしかしたらこの先ずっと、大輝を憎んで生きていたかもしれない。


ちゃんと愛されていたことがわかって、凄く大切な思い出にできた。




「あ、晴希……大輝が晴希のことを気にしてた」


「俺?」


「晴希に嫌われたかなぁってへこんでたよ」


「あー、この間のことか。でも俺、大輝さんが蓮の目の前で、紗羽にプロポーズしたって聞いて、すっげぇカッコいいって思った。やっぱ尊敬する」




今の晴希の表情は、大輝と最後に顔を合わせた時とは、まるで違う。


三年前に戻ったように、大輝のことを尊敬している眼差しになっている。


それを見ていると、なぜか凄く嬉しくなった。




「ふふ……そっか。大輝に言ったら喜ぶよ、絶対」


「また会えるといいんだけどな。つか、さっきから目の前にいて、すっげぇ気になってんだけどさ……」




晴希の柔らかい笑みが、少し意地悪く変化したような気がする。


それに、目の前ってあたしだよね?




「何?」


「それ」




あたしに向かって指差した晴希。




「え……何?」


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