あなた色に染まりたい
桜を見上げながら、思い出すのは蓮とのことばかり。




蓮と出会った日、この桜の木の下で涙を流した。


だからこそ……


蓮と出会えた。




サークルの顔合わせの日、蓮と隣り合わせに座った車の中から見た桜に、泣き崩れた。


あの時、言葉はなかったけれど、隣にいる蓮が凄く気を遣ってくれていたことを、今でも覚えてる。




蓮と温泉旅行へ行った後、“ピンクじゃない桜を見に行こう”と蓮に言われ、たかがグリーンの桜の木なのに、乗り越えるのに二ヵ月かかった。


でも……


いつも傍には蓮のぬくもりがあった。




清々しいほどの夏の海と空のブルーが嫌いだった。


永遠なんてないってわかった場所だから……


でもその海で、蓮への気持ちに気付いた。


ただ手をつなぐことが、心がウキウキするほど嬉しいことだったのを思い出した。


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