あなた色に染まりたい
あたしは三年前の大学の入学式で、サークルのビラ配りをしている先輩に一目惚れした。


惹かれるように、そのままそのサークルに入った。


その先輩は三つ上の四年生だった。


先輩はとても甘いマスクの持ち主で、大学では知らない人がいないんじゃないかというほどモテていた。


だから、先輩目当てでサークルに入ってくる子がたくさんいた。



あたしもその中の一人……


先輩にとってはそんな存在だった。


特別なことは何もなかった。



入学して三ヶ月が過ぎた頃、サークルの飲み会でつい飲み過ぎて潰れてしまったあたし。


トイレにこもって吐き続けるなんて、初めての経験だった。


そんなあたしを介抱してくれたのが、先輩だった。


何度も『大丈夫か?』と言って背中をさすってくれた。


その時の感触は今でも覚えている……


ほんとはもう忘れたいのに。
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